学校が楽しい。そう思える日が来るとは、想像もしていなかった。この学校に入学したとき、私は十八才だった。楽しいかどうかは二の次で、
「高校は卒業しなければ」
という焦りばかり。そんな私に、決して忘れることのない出会いが訪れた。
私には三人の大好きな先生がいる。可愛い、面白い、ほんわか。そんな言葉がぴったりなまさに私のアイドル。私は先生たちのファンなのだ。慌ただしい日も合間に声を掛けてくれる。いつもユーモアあふれる人柄で楽しませてくれる。一方悩みを打ち明けたときは、親身になって聞いてくれる。その姿で私は安心する。思い出すだけでも心が解きほぐされる。
そんな先生たちのパワーは凄まじい。と書くと大げさに聞こえるが、例えば挨拶をしてくれたり、手を振ってくれたり、何気ないことでも私を笑顔にさせてしまう。ときどき意地を張って笑わないようにしてみるけれど、先生たちには敵わない。ふとしたとき、私も先生たちを笑顔にできる人でありたいと思うことがある。そして話題をあれこれと考える。けれども、いざ面と向かうと不思議なくらい頭が真っ白に。今度は照れ隠しのために笑ってしまう。
学校生活にも慣れてきた二年目の夏の日。何事も深く考えすぎてしまう私は、心に限界が来ていた。助けが必要になればなるほど、心を閉ざしてしまう私。自己否定が止まらなかった。そんなボロボロの状態で教室を出ると、そこには先生の姿が。
「おはよう。」
といつものように声を掛けてくれた。そして、気づけば私は泣いていた。先生は優しく受け止めてくれた。初めて人前で流した涙。初めて大人に甘えた瞬間。
私は「大人になる」ということに重い責任を感じていたのだ。何でも自分でどうにかしなければいけない、社会は優しくない、とまで思っていたが、それは私の幻想。世の中が厳しいことは事実でも、どこかに自分を受け入れてくれる人がいる。先生は言ってくれた。
「私に甘えていいんだよ。」
私は今、私を支えてくれる人たちの中で毎日を過ごしている。
ところで、私はなぜ、この三人の先生に夢中になったのだろう。ある日、学校のSNSに卒業式の準備をする先生たちの姿が載っていた。式典らしく着飾った先生たちはとても綺麗だった。思い返せば出会ったとき、私は先生たちに一目惚れだった。私もこんな大人の女性になりたい。この事実に気づいたとき、なぜか幸せな気持ちに満ちていた。「憧れの人」は、日常を楽しませてくれる。そして自分を成長させてくれる。
小さい頃に思い描いていた高校生活とは全く違うけれど、私が選んだ道は間違っていなかった。今の自分が、一番いきいきとしている。気持ちを伝えることは本当に難しい。私の精一杯の言葉。
「この学校にいてくれて、出会ってくれて、ありがとうございます。」
これからも、ちゃんと気持ちを伝えられたのかと悩み続けるだろう。これも私らしさだ。私の青春を彩ってくれた、大好きな三人の先生へ。