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古い常識を打ち砕いて、新しいマンガの世界を作ってほしい!
春木 博史さん
- NHN PlayArt株式会社
comico事業部 GrowingTeam
- プロフィール
- 8年間オンラインゲームポータル「ハンゲーム」の運営に携わる。一昨年よりcomico事業部でサービス運営を担当。作家の発掘、作品の編集に携わる。「PlayArt」の名のとおり、日本のエンターテイメントを豊かにしていくため活躍中。
- 現在、マンガ業界は変わりつつあります。これまでマンガ業界を牽引してきた雑誌は数年前から下降線をたどりつつあり、多くの出版社さんは危機感を強めていました。データを見ていくと、雑誌の部数も落ち込んでいますが、紙の本が読まれる時間や、PCの稼働時間も減少傾向にあります。その一方で、スマートフォンの稼働時間は伸びているのです。電車で乗客を観察していると、スマートフォンを見ている人の数が圧倒的に増えていますよね。これは、みなさんも感じていることと思います。 また、雑誌は個々の作品の単行本を売るための、カタログ的な意味合いも含んでいました。「読者さんが雑誌を読んで、好きなマンガの単行本を買う」という流れで収益が出ていたのです。つまり雑誌が売れなくなるということは、単行本の売り上げにも影響があるということになります。そこで、各社さんともカタログ的な役割をオンラインに求めるようになってきています。 そうした動きの中、我々のcomicoはスタンスが異なり、「スマートフォンで読みやすい」ということに特化したマンガをリリースしています。縦読みであること、フルカラーであること、文字が大きなことが特長ですね。
comicoでは、新しい才能の発掘も積極的に行っています。ウェブは雑誌と違って掲載の数に制限がないですから、雑誌と違って個性的な作品を取り上げやすい環境にあります。自由に描けて、面白ければ読んでもらえる。さらに、読者さんからダイレクトな反応もありますから、マンガ家さんにとっては高いモチベーションを得られる環境だと思っています。 マンガ業界、そして我々が求めている人材は「チャレンジを恐れない人」ですね。従来の形や考えにこだわらず、古い常識を打ち砕くような人、柔軟な人が望ましいです。ある程度のキャリアを積んでいると、どうしても順応が難しい面もあるかもしれません。そういった部分では、若い人に大きなチャンスがあると思います。さらに、読者目線で作品を描ける人が求められます。もちろん独自のアイデアは必要になるのですが、自分の世界を押しつけるのではなく、ユーザーのニーズをくみ上げられることが大事になります。
専門的に学ぶメリットは、基礎的な部分をしっかり学べるということ。ストーリーの組み立て方やキャラクターの設定の仕方、デッサンといった部分は、自己流で進めるよりも習った方が効率がよく吸収できます。今後、我々はもっとクリエイターの発表の場を増やしていきたいと思っています。制限のないウェブという発表の場なので、公式作家もどんどん増やしたいですね。日本はマンガの国だと思っていますから、それが衰退する流れには絶対したくないと強い意思を持って進めています。 今後、マンガ業界は新しい時代に入ります。これからこの業界を目指す人は、時代の節目ということ、古い慣習や考え方に縛られないこともあり、有利なポジションにいると思います。その有利な立ち位置を活かして、「新しいマンガの世界を、自分たちで作って行くんだ」という意識でがんばってほしいと思います。